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令和5年度教育行政執行方針
令和５年度 教育行政執行方針
令和４年栗山町議会定例会３月定例会議の開会に当たり、教育行政執行方針について申し上げます。議員の皆さんをはじめ、町民の皆さんのご理解とご協力をいただきたいと存じます。
教育は、普遍的かつ個性的な文化の創造と豊かな社会の実現を目指し、心身ともに健康で文化的な資質をもち、平和で民主的な国家及び地域社会の形成者として自主的精神に満ちた健全な人間の育成と、我が国の歴史と文化を尊重し国際社会に生きる日本人、栗山町民を育むことを期して行わなければなりません。
同時に、社会の変化に対応し、絶えずその在り方を見直していかなければならないものであり、経済・社会のグローバル化、情報技術革命、地球環境問題及び少子高齢化の進展など、時代の 変化や知識基盤社会に主体的に対応し、日本の未来を担う人材を育成することが重要になっております。
栗山町教育委員会といたしましては、このような考え方に立ち、幼児・児童・生徒が知性、感性、道徳心や体力を育み、人間性豊かに成長することを願い、「互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間」、「地域社会の一員として、社会に貢献しようとする人間」、「自ら学び・考え・行動する個性と創造性豊かな人間」の育成を教育目標に掲げ、積極的に教育行政を推進してまいります。
また、豊かな自然環境の中で、子どもたちが生涯にわたって主体的に文化・スポーツに親しむことができる人間として成長するよう、関係機関・団体等との一層の連携を図ってまいります。
さらに、教育は、学校・家庭・地域のそれぞれが責任を果たし、連携して行わなければならないものであるとの認識に立って、すべての町民が教育に参加することを目指してまいります。
以下、これら教育目標の達成に向けた具体的な推進方策に関わり、３分野の重点方針を申し上げます。
第１分野 「学校教育」
教育政策の根幹として位置付けられている学習指導要領に基づき、特に重視することを７点申し上げます。
人権教育と豊かな心を育む教育の推進
「いじめ防止対策推進法」及び「北海道いじめ防止基本方針」の制定趣旨を踏まえ、「（仮称）栗山町いじめの防止等に関する条例」を制定し、いじめの根絶に向けて保護者・地域・関係機関と協力し、お互いに認め合い、共に学び合える学校づくりを推進するとともに、人権尊重の理念を広く定着させ、あらゆる偏見や差別意識の解消を目指し、人権教育の充実を図ります。
また、豊かな体験活動を通して、子どもたちが生命を大切にする心、他人を思いやる心、規範意識を育む教育を行い、発達段階に応じて学校の教育活動全体を通じた道徳教育の充実を図るとともに、 校外学習や移動教室などによる体験学習や集団活動の実践を重ね、他者との交流や協働することの重要性を実感できる、豊かな心を 育む教育の充実を図ります。
さらに、地域の施設や環境を活用し、歴史、伝統・文化、芸術等について理解を深め、郷土を愛し、誇りに思う心を育む教育を推進するとともに、身の回りの諸課題を解決する力を育成し、ＳＤＧsの理念に基づき、保護者や地域等と連携して、持続可能な社会の担い手に必要な資質・能力の向上を図ってまいります。
確かな学力の定着と豊かな個性を伸長する教育の推進
次代の担い手となる子どもたちの知識・技能の習得、思考力、 表現力等の育成、学びに向かう力、人間性の涵養など、時代の変化に対応できる資質・能力を育成します。そのために主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善に努め、学習状況に関する調査や授業改善推進プランを活用した「社会に開かれた教育課程」を編成するとともに、図書館との連携を図り、学校図書館を学習情報センターとして機能させ、読書活動の効果的推進や調べ学習、発表活動を通して、主体的に学習する態度を育成し、きめ細かな指導による基礎的・ 基本的な知識・技能の確実な定着を図ります。
また、子どもの特性や成長段階を踏まえ、個に応じた教育を展開し、豊かな個性や創造性の育成を図るとともに、ボランティア活動等を推進し、予測困難な社会の中でも様々な困難を乗り越え、人生を切り拓いていくため、発達段階に応じた栗山らしいふるさとキャリア教育を推進してまいります。
さらに、ＩＣＴを活用した教育活動の継続と、発達段階に応じた情報活用能力や情報モラルの育成を図るとともに、継続的な英語活動・英語教育を充実し、コミュニケーション能力を高め、国際社会の発展に寄与する態度や多文化共生の意識醸成を図ってまいります。
健やかな体の育成と健康教育の推進
健やかな体を育成するため、関係機関・団体と連携し、運動等の機会の充実を図り、子どもたちの体力づくりを推進するとともに、自らの健康に関する意識を高め、望ましい生活習慣を身に付け、生涯を通じて逞しく生きる基盤を養います。併せて、学校給食を学習教材とし、栄養のバランスや規則正しい食生活、食品の安全性、自然の恩恵・勤労などへの感謝や食文化等を学ぶ食育を推進します。
また、学校の新しい生活様式に基づいた衛生管理を徹底し、幼児・児童・生徒、教職員の感染対策を講じつつ、持続的な学校運営を行います。
さらに、「栗山町健康増進計画」の趣旨を踏まえ、がんの仕組みや予防・歯と口腔の衛生に関する正しい知識と生活習慣の習得を図るなど、健康教育の推進を図ってまいります。
一人ひとりを大切にする教育の推進
すべての子どもが社会環境の変化に適切に対応し、より良い人生を生き抜くため、必要となる基礎的な力を育み、個性や能力に応じた最適な学びを支えていくとともに、教育の専門性や指導力を高めるため、個別指導計画等に基づき、特別支援学級・特別支援教室における指導や就学相談の充実により、一人ひとりの能力を最大限に伸長する特別支援教育を推進し、交流及び共同学習等を通し、子どもたちが障がいの有無に関わらず、相互に活動する機会の充実を図ります。
また、学校・家庭・地域・関係機関等が連携し、問題行動の課題に迅速に対応するとともに、誰もが助け合い、認め合える温かい学校づくりを推進し、困難な課題を抱える児童・生徒に対する様々な支援、日常的な対話や観察、心理検査の実施と分析及びケア体制の充実を図り、子ども一人ひとりの悩みや状況を把握し、関係機関との緊密な協力のもと、児童・生徒が相談しやすい環境の整備、相談窓口の周知及び取組の徹底を図ってまいります。
さらに、就学前から義務教育修了までの発達段階を円滑につなぐ各種プログラム等の活用や異校種の交流を通して幼・保・小・中の連携した教育を充実させ、子どもの発達や学びの連続性を高めて まいります。
安全・安心な学校づくりと教育環境の充実
子ども自らが自然災害や交通事故、犯罪等の様々な危機を予測し、回避することができる力を高める教育を推進するとともに、地域と連携した防災訓練等の拡充と組織的な体制を整備し、防災教育の 充実を図ります。
また、「学校給食における食物アレルギー対応指針」等を参考に、アレルギー対策や事故予防、事故発生時の適切な緊急対応の徹底を図るため、組織的な体制づくりに取り組んでまいります。
さらに、教育環境の向上や防災機能の充実等を図るため、「個別施設計画」に基づき、計画的に学校施設の改修を進めてまいります。
学校・家庭・地域社会の連携・協働と学校経営改革の推進
校長が策定する学校経営方針を尊重し、学校評価や学校運営協議会の充実を図るとともに、経営方針に基づく教育活動の成果を評価・ 検証し、学校・家庭・地域の協働体制の充実を図ります。そのため、コミュニティ・スクール制度を拡充し、地域とともにある学校づくりを推進するとともに、地域の教育力を活かした特色ある学校づくりを進め、教員研修や校内研究、ＯＪＴ等を通して、計画的・継続的な 人材育成に努めてまいります。
また、放課後の安全・安心な活動拠点を設け、子どもたちによるスポーツや文化活動等の様々な体験活動、地域住民との交流活動の推進を図るため、中学校部活動の地域移行に向けた協議を始めるとともに、部活動等を通して、生徒が楽しさや喜びを分かち合う、心身のバランスのとれた成長を支援してまいります。
さらに、体罰は暴力であるとの認識の下、全校挙げて体罰を根絶し、子ども、家庭、地域に信頼される学校づくりを推進するとともに、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を受けて策定した「栗山町アクション・プラン」に基づく校務改善を進めるなど、教員の心身の健康保持、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境整備を行い、学校教育の維持向上を図ってまいります。
栗山高等学校の維持・存続に向けた支援強化と魅力化ビジョンの推進
生徒の資質向上と希望進路に対応する各種支援制度を充実し、定員確保と募集２間口維持を実現します。
また、栗山高等学校の「魅力化ビジョン」を実現するため、介護福祉学校との協働を基軸に産学官連携の高校魅力化コンソーシアムによる教育モデルを構築し、魅力ある高校、選ばれる学校づくりを推進してまいります。
さらに、今春から部活動としての新たなスタートとなる女子野球活動につきましては、指導体制の充実など、引き続き必要な支援を行うとともに、学生寮を改修するなど入寮者の生活環境改善を図ってまいります。
第２分野 「社会教育」
社会情勢の変化や教育において多様化する課題を踏まえ、すべての町民が、生きがいのある充実した人生を送ることができるよう、学校、家庭、地域など様々な場で学び、活動することができる環境づくりに努めるとともに、栗山の豊かな自然、積み重ねられた まちの歴史・文化の良さを活かしながら、みんなで支えあいふるさと栗山を大切にする人を育てる「ふるさと教育」の推進を図ってまいります。
そのため、特に重視することを６点申し上げます。
生涯教育の推進
町民一人ひとりが生涯にわたって生きがいのある豊かな生活を送ることができるよう、趣味や教養などを高める町民講座などの学習機会の提供や生涯学習情報誌「マナビィ」の発行、高齢者大学「いきいきスクール」の実施など、学びの機会を提供します。
また、子どもたちの望ましい生活習慣確立のため、家庭教育の機能を高める取組を推進するとともに、「くりやまキッズクラブ」などを 通した自然・社会体験を充実し、栗山町青少年育成事業を支援するなど、青少年の体験活動の機会を提供してまいります。
さらに、豊かな心づくりを目指し、町民の読書活動を支援するとともに、学校図書館との連携推進や子育てブックスタート事業の実施、電子図書館の活用などを通じ、誰もが気軽に図書に触れられる環境整備を図ってまいります。
自然環境教育の推進
「栗山町自然教育中長期計画」に基づき、関係団体の活動支援などを通して、自然・里山環境の保全を進めるなど、人と自然との共生を推進します。
また、オオムラサキ館の管理運営など、国蝶オオムラサキの 生息環境を保全し、その生態を公開するとともに、自然体験プログラムの充実を図り、町内児童生徒の体験学習支援など、雨煙別小学校コカ・コーラ環境ハウスを拠点とした、本町独自の「ふるさと自然体験教育」を推進してまいります。
スポーツの推進
生涯を通してスポーツに親しみ、健康に過ごすことができるよう、スポーツ協会、スポーツ少年団本部及び各種スポーツイベントへの支援などを通し、年齢や興味関心・技術技能に応じたスポーツの普及・振興に努めてまいります。
また、「第２回くりやまハーフマラソン」を開催し、町民の健康増進はもとより、官民一体となり、まちの賑わいと活力を創出する大会として定着を図ります。
さらに、大学や企業などの合宿・研修などの受入体制の整備を推進してまいります。
芸術・文化活動の支援と文化財の保存・活用及び郷土芸能の継承活動の推進
演劇・音楽や芸術鑑賞事業の実施など、文化振興基金補助金を活用した芸術文化に親しむことのできる環境づくりや、文化連盟などと連携した事業を実施するとともに、町民の文化活動や芸術家の活動、伝統文化の継承などを支援します。
また、町の文化財指定や文化財保護に関する啓発活動を推進し、歴史的建造物や貴重な文化財の保護・活用に取り組むとともに、文化財保護委員の協力の下、新たな文化財の発掘・指定について検討してまいります。
国際・地域間交流の推進
将来を担う子どもたちに豊かな感性や国際感覚を身に付けさせるため、海外の生活や文化に直接触れることができる海外派遣事業「少年ジェット希望の翼」を継続するとともに、英語によるコミュニケ―ション能力の向上を図るため、福島県川俣町の子どもたちとの交流を含めた、英語コミュニケーションスキル研修を継続します。
また、姉妹都市である宮城県角田市との子ども交歓のつどいや 勤労青年研修事業を継続します。
さらに、町外小中学校・大学等の教育活動の受入れ拡大など、自然・農村環境を活かした体験教育プログラムの開発により、都市農村交流を推進してまいります。
長寿化を図る施設の計画的改修
第７次総合計画及び個別施設計画に基づく計画的な補修・改修を行い、社会体育施設及び社会教育施設の適正な維持管理に努めてまいります。
第３分野 「北海道介護福祉学校」
本格的な超高齢社会の入り口となる２０２５年を間近にして、介護人材等の需要がますます高まる一方、社会経済情勢の変化等により介護職を目指す人材は減少を続けております。
こうした社会的課題に対して、３５年にわたり自治体政策として 介護福祉士の養成を行ってきた本町には、道内自治体や介護施設等から大きな期待が寄せられていることから、今後も優れた介護福祉士を養成し、町内をはじめ、全道・全国に向けて中核的介護人材を輩出することを目指し、学生確保及び専門職教育等に努めてまいります。
そのため、特に重視することを３点申し上げます。
戦略的学校経営による経営基盤の確立
これまでの経営改善の取組や第７次総合計画を踏まえた「北海道介護福祉学校中期経営戦略」を策定し、戦略性を持って学校経営に取り組み、持続的経営基盤の確立を目指します。
多彩な方法により学生確保対策を進め、定員充足率向上を図るとともに、特色ある教育カリキュラムの下、確かな知識・技術の習得と国家試験合格率１００％を目指し、様々な地域課題の基礎的理解を踏まえた視野の広い介護福祉士を養成します。
さらに、「地域の介護人材は地域と栗山町で育てる」をテーマとする「介護人材の確保に関する自治体包括連携」の取組をはじめ、町立の専門学校であることの機能を最大限に活かし、様々な角度から自治体などとの連携を推進してまいります。
本校の教育機能の有効活用と地域に開かれた学校づくり
学生が主体的に取り組む「地域活動研究」による福祉課題等の調査・研究、学生と町民が共に学ぶ公開講座の実施、ケアラー支援推進に係る連携協力、社会福祉協議会との連携などを通して、地域包括ケアシステム構築の一端を担い、地域に開かれ、町民に期待され、必要とされる学校として実感される取組を進めます。
また、本校の教育機能を活用し、未来の介護人材発掘にもつながる小中学校における福祉教育を支援するとともに、介護事業所等と 連携し、介護職員の資質向上などを支援してまいります。
文部科学省の委託を受けて実施する「栗山高等学校との連携による高専一貫教育プログラムの開発・実証事業の着実な推進
栗山高等学校の独自科目「栗山と福祉」が、本年度入学生より 開始されることから、本校と栗山高等学校が中心となり、町、社会福祉協議会、介護事業所などとの連携・協働により、高・専の５年間にわたる継続的な学びを効果的に推進してまいります。
結びに、令和５年度に向けた教育長並びに教育委員４名の決意の一端を申し述べます。
私たちは、これまでの「行動し実行する教育委員会」の姿勢の下、教育に対する町民の想いをしっかりと受け止めながら、「栗山町 第７次総合計画」で謳う「人々が元気に輝くふるさとづくり」への歩みを着実なものにするよう努めてまいります。
次代のくりやまを担う子どもたちが、これまで積み重ねてきた まちの歴史・文化の良さを活かしながら、「ふるさと栗山」に愛着と誇りを持ち、将来に夢・希望を持って成長することができるよう、学校・家庭・地域・行政が連携した、総ぐるみ・総がかりで支える「ふるさと教育」を推進してまいります。
町民の皆さん、議員の皆さん、並びに関係機関・団体の皆さんのご指導とご協力を心からお願い申し上げ、令和５年度の教育行政執行方針といたします。
